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GNSS予報で大都市における測位精度を向上

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ビルが並ぶエリアでドローンや自律走行車はGNSS信号の乱れによりナビゲーション精度を失う可能性があります。GNSS信号の予測はとても素晴らしいソリューションを提供します。

注:このブログはION GNSS+ 2022で発表された論文「GNSS Foresightを用いた大都市環境におけるGNSS性能評価」を要約したものです。

ドローンや自律走行車が大都市で安全に運用されるには1つの大きな技術的問題を克服する必要があります。

高い建物やその他の特徴により自律走行車は頭上のナビゲーション衛星への直接信号を遮られ、道路上や空中で正確な位置を計算する能力が損なわれる可能性があります。GNSS受信機は信号処理アルゴリズムを使って直接信号の損失を軽減しますが、そのアルゴリズムはすべてのシナリオで100%有効とは限りません。

緊急対応ドローン、検査ドローン、自律型配送トラックなどの自動走行車両を都市で使用したい場合、より優れたソリューションを見出す必要があります。

SpirentはGNSS予測が重要な役割を果たすと考えています。そしてライブテストでGNSS予測はビル街での信号劣化によるナビゲーションの問題をすばらしく克服できることを証明しました。

マルチパス信号は高性能な受信機でさえもGNSSの位置精度に影響

GNSSレシーバーが大都市部で対処しなければならない重要な問題はマルチパスです。これは信号が建物によって完全にブロックされるのではなく、建物で反射して経路が断片化したり伸長したりする場合に発生します。受信機でこの影響を十分に軽減できないと、信号経路の延長により受信機が不正確な位置を計算するリスクが高くなります。

多くの受信機ではマルチパス信号を検出してフィルタリングし、直接信号のみを残して位置計算を行うアルゴリズムが使用されています。しかし車両が都市部の峡谷に入れば入るほど、周囲のマルチパス信号が増え受信機で直接信号とマルチパス信号を区別することが困難になります。

そのため加速度センサーやジャイロスコープ、車輪速センサーなどの慣性計測ユニットに頼って位置計算を続けなければならないことがよくあります。しかしこれらのセンサーは短時間しか精度を維持できないためズレが生じ始めます。

マルチパス影響を克服するGNSS信号予測の価値

SpirentはGNSS信号の予測により、都市部における衛星測位とナビゲーションの精度に対するこれらの障壁を取り除くことができると、長い間検討してきました。GNSSレシーバーがマルチパスによって影響を受ける可能性のある環境の信号状況を予測できていれば、その信号処理アルゴリズムは直接信号とマルチパス信号をより正確に区別することができ、正確な測位を可能にします。

同様に前方の環境における正確なGNSS信号の予測があれば、自律走行車は信号が著しく妨害されそうなエリアを避けるという措置を取ることができます。

自律走行車の運行計画においてGNSS信号の予測は信号途絶を回避するためのナビゲーションに役立ちます。例えばドローンを使った建物検査の場合、検査に必要な建物のあらゆる場所にドローンが安全に航行できることが予測される時間帯に検査を計画することができます。

Spirent GNSS Foresight は信頼性の高い信号予測を提供し、レシーバーの性能を向上させます

Foresightは当社のクラウドベースのGNSS信号予測ソリューションであり、連続フィード(Foresight Live)または1箇所の特定地域における予測(Foresight Risk Analysis)として利用可能です。GNSS Foresightの有効性と価値を実証するためSpirentは世界中のお客様を対象に以下のような複数のテストを実施しました。

インディアナポリスでのドライブテストの結果は大都市部での信号環境の変化の速さとマルチパス信号に遭遇した場合の受信機の位置精度の低下の速さを示しています。

3つの写真はテストルートの航空写真で、左側から低い建物が数棟あるだけの見通しの良いエリアからビルディングが立ち並ぶダウンタウンエリアへと進んでいます。衛星信号の精度劣化(DoP)をGNSS Foresightソリューションで生成したヒートマップで表示しています。緑と黄色のエリアは精度が高いことを示し、赤と黒のエリアは精度が最も低いことを示しています。赤丸は繁華街の入り口にある信号機のある交差点です。

一番上の写真はテスト10分前のドライブルートで、ジャンクション付近のGNSS信号はかなりクリアな状態です。しかしその10分後にテスト走行を開始すると、上空の衛星が移動したためジャンクションでのGNSS信号の不明瞭さやマルチパスが発生し、その結果高いDoP率が発生していることが真ん中の写真で示されています。

青い線はドライブ中に受信機が出力した実際の位置情報です。ジャンクションで停止するとすぐにマルチパス信号の影響を受け、精度が著しく低下し2ブロックほど回復しないため、GNSSに依存する車両にとっては安全上の大きなリスクとなります。一番下の写真は10分後のGNSS信号環境を示しており、同じエリアで信号途絶とマルチパス信号の影響をさらに受けています。

GNSS信号予測は都市部におけるマルチパス問題に対する解決策を提供します

これらのテストやその他のテストから、テストドライブで使用したようなマルチGNSSレシーバーでさえ、大都市環境では受信した信号が高い確率でマルチパスの影響を受けている可能性あることが分かります。その結果マルチパス信号を軽減するのに苦労することになります。マルチパス信号の軽減をお手伝いできるSpirentの信号予測ソリューションがあれば、受信機の性能を大幅に向上させることができます。

さらにドローンと地上車両を使用してこれまでに実施したテストでは、Spirent GNSS Foresightによって生成された予測とヒートマップは受信機が遭遇する実際の信号環境と非常に密接に相関していることが一貫して示されています。SpirentはGNSS依存機器の開発者やユーザーとForesightデータを共有し比較することで、予測の正確さと信頼性を実証しています。

ForesightによるGNSS信号予測の詳細をご覧になる

最大3日先まで正確に予測できるSpirent GNSS ForesightはGNSSチップセットの開発者とGNSS依存機器の運用ユーザーに大きな価値を提供します。

フォーサイトのテスト結果について詳しく知りたい方、フォーサイトのデモやトライアルをご希望の方はぜひご連絡ください右矢印アイコン

ドローンや自律走行車のためのGNSS信号予測についても当社のeBookで詳しく説明されています。Beyond Visual Line of Sight Planning and OperationUrban Autopilot Augmentation Using GNSSもぜひご覧ください。

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Esther Anyaegbu

Senior Staff Systems Engineer

Dr. Esther Anyaegbu is a Senior Staff Systems Engineer at Spirent Communications. She has over 15 years’ experience designing and developing GNSS algorithms and chipsets. She earned her Ph.D. in Satellite Navigation in 2007 from the University of Leeds, where she focused on the processing of GNSS signals. She received a master’s degree from Brunel University in Data Communications Systems in 2003.