通信業界は第5世代のモバイルテクノロジーの採用で大きな変化の最中にあり、政府機構、一般家庭、社会全体でのユースケースも大規模な変化を遂げています。初期のネットワーク世代をアップグレードした際と異なり、5Gはサプライヤーのエコシステムを拡大してソフトウェア定義されたネットワーク機能を取り入れ、機敏性とイノベーションをもたらします。
この変化に伴い、Deutsche Telekom (DT)などの業界大手は、ネットワークを構築、管理、アップグレードしていた旧来の手法を新たな現実に合わせなければならないことを認識しています。Spirentなど、テストとアシュアランス分野の大手企業と緊密に提携することで、Deutsche Telekomは統合済みのテストを用いて高度に自動化された環境に基づく、新たな戦略を打ち立てました。新たな運用モデルでは自動化の度合いが高いため、5Gと相互接続されたテレコムシステム両方で、すべての可能性を発揮させることができます。
この構想を実現するため、DTは運用のワークフローを根本から見直しました。少数のベンダーが完全な垂直スタックを実質的に提供していた旧来の手法から逸脱し、多数のベンダーが参加する可能性を開いて、ほぼソフトウェアベースのアーキテクチャのインフラや機能で関われる手法へ向かっています。環境をより緻密に管理して機敏性を高めるため、オペレーターは初期段階で多種多様なソフトウェア、ハードウェア、管理要素を統合して運用する必要があります。
インテグレーターとオペレーター
固定スタックを管理するオペレーターから脱却して、DTのようなイノベーターは統合と運用の両方を司るようになっています。これは内部でIntOpsと呼ばれ、GitOpsなどの実績ある手法やテクノロジーに支えられます。IntOpsは産業規格ではありませんが、ソフトウェア定義されたネットワーク機能を管理する文脈ですべてのテレコムオペレーターが直面する、柔軟性と安定性を両立するジレンマを解消できます。
IntOps手法で重要なのは、変更プロセスの全体で一貫性と再現性を確保することです。これにはソフトウェア定義されたネットワーク機能を宣言的にモデリングしたり、ソフトウェアのネットワーク機能をカスタマイズする手法を細かく定義することで各環境別のコンテキストを反映させる、など多くの要素が関わります。もう一つの目標は、すべてのソフトウェアプロセスのインスタンスを閉ループの自動化を通じて管理することです。ここでは、テレコムオペレーターの顧客へエンドツーエンドでサービス品質を保証するために、テストの自動化が必要な補完的テクノロジーとなります。
IntOpsの可能性を商業的に活かすには、自動化された連続テスト(CT)が必要です。これは、テスト用にパイプライン段階を追加で作成するより、パイプラインの各段階でCT手法を含めることになります。例えとして、列車を設計仕様以上の速度で走らせるには、エンジンを入れ替える以上の作業が必要です。すべての要素が新しい負荷に耐えられるよう、おそらくゼロから再設計することになるでしょう。また、成功を納めるには、連続テストを支援する適切なツールをパイプラインへ備える必要もあります。
IntOpsとテストの自動化を実現する10のステップ
IntOpsの基本原則の一つに、ワークフローが非常に複雑化する可能性があるため、体系立ち再現可能な段階を作成しやすくできる点が挙げられます。このため、DTはプロセスを10のステップに分割しました。各ステップがそれぞれの機能要素を持つ可能性があります。このフレームワークでは、実世界でネットワークソリューションを導入する段階を見据えて、詳細なコンセプトとマップを作成しやすくなります。これは大まかに、5つの主要な領域に分けられます:ビジョン、アーキテクチャ、プロセス、実装、閉ループの自動化です。ビジョンペーパー「IntOps:5Gの可能性をすべて解放するための新しいモデル」は、10のステップすべてと、テスト自動化の役割を紹介しています。
業界を支援
IntOpsはDTにより採用され、実質的なメリットを発揮しています。IntOpsが本質的に持つ手法への移行が、業界全体で始まっています。目標は、オペレーターがソフトウェア定義されたネットワークサービスのメリットを享受し、最終的には最高のカスタマー体験レベルを提供できるようにすることです。長期的な目標は、製品の規模と対象がスマートシティ、コネクテッドカー、民間企業のネットワーク、IoTなどの新興分野へ拡大するにつれ、優秀さを継続させることです。
IntOpsで定義されたCTの役割も、よりダイナミックで、敏捷性があり、適応力のあるネットワークの必要性が増すにつれ、変化しています。かつては過激すぎるとみられていた「Design for Failure」(障害発生を前提にした設計)などのコンセプトは今やベストプラクティスとして受け入れられており、現代の5Gネットワークが新たな需要を満たすための拡張性を実現するために不可欠となっています。実作業の観点からすれば、IntOpsや類似の戦略のニーズに応じて、CTがネットワークデジタルツインなどの新たな機能を導入していることを意味します。
最後に述べる重要なポイントは、IntOpsはガイダンスであり、処方箋ではないということです。以前のDevOpsやNetOpsと同じく、IntOpsもほぼ間違いなく、時間が経つにつれて進化していきます。そのビジョンを実現するために、「最高レベル」と考えられるツールやテクノロジー類も同じく進化するはずです。しかし、IntOpsビジョンを共有することで、当社はオペレーター、サプライヤー、パートナーのコミュニティで様々な関係者が知識を自由に交換できる場を醸成することを願っています。これはやがて、5Gがすべての人々にとってより優れた次世代のサービスへ移行する動きを支援するはずです。
詳細は、ビジョンペーパーをご覧ください:IntOps:5Gの可能性をすべて解放するための新しいモデル。
EMEA地域でのネットワークの仮想化ソリューション提供を専門とするSpirent Solutionsのアーキテクト、Vitus Zellerが今回のブログ記事に寄稿しました。